縦書きテスト

縦書きのテスト投稿

 

足元から微かな振動が伝わってきた。同時に目の前の空間に浮かんでいる、三つのコンソールウィンドウにノイズが走る。そこに表示されているステータスを見る限り、処理は止まっていない。五重の罠を仕込んだウイルスは順調にシステムを喰らい続けている。
「アリエル様、いまのは……」
「シェリルの部隊でしょう。壊せるものはすべて破壊する手はずです。再利用できなくするため、力任せにやってるのではないですか?」
 アリエルと呼ばれた赤錆色の髪の女性は四つ目のウィンドウを立ち上げ、建物内のカメラから送られてくる映像を分割表示させた。右隣にいる三十代の技師がその画面を食い入るように見つめる。彼の顔には焦りと怯えの色が濃く出ている。
 無理もない。彼とアリエルを含む五人は神と呼ばれる存在、ディーバと名付けられた人工知能の中枢に入り込んでいる。そしてその機能を止め、再起動できないようにしている。いわば神殺しを行っているのだ。

  • 筆者
    美月綾乃
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